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wanakio

 wanakio とは、ティトゥス・スプリー、宮城潤、嘉藤笑子の共同企画により沖縄で行われた国際アートプロジェクトで2002年、2003年、2005年、2008年に開催された。

 wanakioは、Okinawaを並べ替えた造語で、沖縄に在る人やもの、歴史などをアーティストが見つめ直し、地域と交流しながらその素材から新しい価値を作り上げていくという意味が込められている。

​ 私は、2002年と2003年に琉球大学の学生・大学院生と一緒に参加した。

 wanakio2002の主会場は、那覇市農連市場と前島3丁目で、私は、農連市場で、吉田悦治ゼミと一緒に子どもワークショップに参加し、学生・大学院生と二つのアートプロジェクトを行った。

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wanakio 2002 子どもワークショップ
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おつかいありさん

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こすこす調査隊

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農連しりとり

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おつかいありさん

 ありさんは凸凹どんな道でもスイスイ。だって迷わないように秘密のしるしをつけているんだ。

 みんなも、ありさんになって市場中の地面を探検しよう。

 市場の地面はどんなふうになっているかな?

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こすこす調査隊

 えんぴつやクレヨンを持って、市場中を調査しよう!

 こすこすしていくと…。

​ ほぉ〜ら、何かがみえてくるぞ

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農連しりとり

 ちょっと変わったルールのしりとり。

 市場内のお店を廻って、しりとりで物々交換していくよ。

 グループで協力して、コミュニケーション開始!

 お店のひとと仲良しになれば、値段の違いも気にしない。

 「りんご」→「ごぼう」と交換成立。次は…?

 「う、う、う…、うめぼし!」

 あれれ、交換成立どころか、お菓子まで貰っちゃってる。

​ いつの間にか、籠の中はてんこ盛りに…

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wanakio 2002 アートプロジェクト
生活館

 生活館は、大学院1年次の片野坂達也がプロジェクトリーダーを務め、彼の発案により、農連市場の空き倉庫を利用した展示スペースには回転扉が設置された。

 農連市場内の地面や床、壁、柱などの傷跡、痕跡を収集するプロジェクトとして、参加型のアートを目指した。

 展示空間の内部では、樹脂で型取られた痕跡が闇の中にかすかな照明で浮かび上がり、あたかも博物館のような雰囲気を醸し出していた。

 大学院1年次の新垣綾子の収集した痕跡は、市場で暮らす人々が噛み捨てたチューインガムを執拗に型取りし続けたものである。

 当初このアートプロジェクトは、このような学生や院生の作品ばかりであった。参加型を目指したにもかかわらず、一般の参加がなく、物足りなさを覚えていた私は、痕跡を収集し、その解説文を添える際に、事実でなくても良いというこのプロジェクトの解釈を広げ、私が架空の人物になりきって、痕跡を見つけ、架空の物語を作ることにした。

 初めに作った「物語」の参加者は高木正樹である。彼は、ガーブ川にかかる橋の袂の盛り上がったコンクリートに刻まれた削り跡を採集し、ここに削りを入れたKという元彫刻家との交友を報告したことにした。

​ 次に、山本由美子という架空の人物の「物語」を作った。彼女は、昔、沖縄で金城正子という染織家と一緒に工房を開いていたという話にした。収集したのは水飲み場の蛇口跡である。

 最後に作った「物語」の語り手はまだ20代前半の女性マユミである。彼女の話は月並みではあるが、野良犬との交友である。採集した痕跡はコンクリートの生乾きの上をその犬ペーチンが歩いた足跡。

 こんなふうに、三人の架空の人物の三つの話を展示し、このアートプロジェクトが参加型として成立しているかのように捏造した。​

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上の画像をクリックすると高木正樹のレポートがご覧になれます。

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上の画像をクリックすると山本由美子、マユミそれぞれの

レポートがご覧になれます。

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めぞんモザンビーク

 めぞんモザンビークは、汚染度の高いガーブ川に住むテラピアを快適なマンションに移住させるという計画で、大学院2年次の玉城真をプロジェクトリーダーとして実施された。

 那覇市上間の湧水を源流とするガーブ川は農連市場を通り、牧志一丁目付近で久茂地川に合流する。

 水質調査によれば、その汚染度は那覇市でワースト5に入る程で、国場川などの他の川ではNPOの活動により、環境改善に向けての取り組みが行われているが、ガーブ川は殆ど放置された状態であるという。

 テラピアの原産地はアフリカのマラウィ湖とエジプトのナイル川流域で、日本にはナイルテラピア、ジルテラピア、モザンビークテラピアの三種類がいる。ガーブ川に住んでいるのはモザンビークテラピアで、故郷のアフリカ・マラウィ湖の水質を再現した快適な水槽に移住してもらうものである。

玉城真制作のテラピアパンフはこちら

 wanakioが開催されていた頃は、まだ、農連市場は、戦後に相対売りを始めた市場そのままの雰囲気が残っていた。その頃すでに「那覇市農連市場地区事業化促進計画」という都市再開発計画が進行中であったようで、今では、のうれんプラザという無個性な新施設にまとめられてしまっている。

 めぞんモザンビークは、当時、なかなか進展していなかった都市再開発構想の先取り事業として行うとしていたのだが、実にアイロニカルな表現であると言えよう。

 ガーブ川に住むテラピアにとっては、この移住計画はお節介で迷惑なものでしかなく、農連市場で生活している人にとっての都市再開発事業と同様だったのではないだろうか。

 のうれんプラザの一階では、まだ相対売りを続けているとウエブページには記されていたが、私はこの建物にまだ入ったことがない。ここで相対売りをしている人たちは幸せなんだろうか。

 wanakio2002アートプロジェクトの最終日には、国際キッチンというイベントと連動し、綺麗な水質のマンション(水槽)で清められたテラピアを食材にして料理を振る舞うというパフォーマンス(実際は、市場で購入した魚を使用)を行った。

​ 料理は私の担当でした。

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wanakio 2003 子どもワークショップ

 wanakio2003の子どもワークショップでは、「農連すごろく」を行いました。

 「農連すごろく」は農連市場全体を双六盤に見立て、子どもたちが駒となって、サイコロを振りながら回ります。

 出た目のマスによって、いろいろクリアしなければならない指令やクイズがあって、子どもたちは市場内を駆け巡ったり、売り場のオジー、オバーと自然に交流します。

 日頃はあまり子どもたちが来ない農連市場のお店の人たちも嬉しそう。

 みんな無事にゴール出来るかな?

 スタート早々、ガーブ川にかかる橋の上には、河童が待っていて、このマスに止まると、雨ガッパを着せられ、「市場で何か良いことをして来よう」とか「きゅうりを使っておもちゃを作ろう」などの指示をクリアしないといけません。

 市場の真ん中ごろには、ひなの親分がお母さんたちと一緒に陣取っていて、ひなのベレー帽と上着を着用し画板と絵具一式を持たされて、「お店の看板を描いて、食材をゲットしよう」の指示が待っています。

​ さあ、スタートです。

 

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 ガーブ川の河童の指示をクリアしたのも束の間、古着屋さんの前に止まると、「のっけてノってけ変身ショー」。

​ むかし、市場にものを運んできたり、行商する人たちは、みんな頭の上にバーキという竹で編んだカゴを乗せて運んでいました。

 これに倣って、頭にバーキを乗せて落とさないように、古着を試着できたらクリア。

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 市場の真ん中、中央広場のマスで止まると「ひなの恩返し」。

 ひなの親分からベレー帽と上着を渡されると、気分はもう画伯。どのお店の看板を描こうか決まったら、さあ制作!

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 可愛い子どもたちの描いた看板の絵に、お店のおばさんも思わずにっこり。

 次々に食材をゲットして、持ち帰ってきました。

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 中央広場を進むと、「七輪のさむらい」と名乗るお兄さんが七輪で小魚とウインナーを焼いています。

 「どっちを食べる?」

 これが運命の分かれ道。ウインナーを食べた人は、近くの果物屋さんで果物の重さをピッタリ当てなくてはなりません。小魚を食べた人は、「もやしの細道」へ。

 那覇のこういう街では、魅力たっぷりのスージー小が至る所にあります。この農連市場から、ここは誰かのお宅の庭ではないかと思うようなスージー小を抜けると、流石にこの狭さは恰幅の良い大人では通り抜けられない「もやしの細道」。

 

 でも、子どもたちは何の苦もなく走り抜けて行きます。

​ 果物の重さをピッタリ当てることができたら、あるいは、「もやしの細道」を抜けた先で、ダンベルを10回挙げられたら、10円玉が貰えます。これは後から、すごろくで使うから、すぐに使っちゃダメですよ。

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 クイズの答えが分かったら、公衆電話で正解を伝えないといけません。これに10円玉が必要でした。

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 公衆電話で正解を伝えることができたら、ご褒美に、向こうの橋にいる河童さんに河童踊りをリクエストできます。

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 クイズが不正解な人は、アートプロジェクトの作家として参加していた、水内貴英+住中浩史の「農連美術超短期大学」への裏口入学コースになります。

​ でも、無事、卒業制作が出来上がったらゴールです!

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 紙芝居のコーナーもありました。農連市場の歴史が学べます。

 そして、最後はやっぱり、カチャーシー。

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wanakio 2003 アートプロジェクト

 2003年のアートプロジェクトでは、私は桜坂地区の担当になり、ここで映像プロジェクトを実施した。

​ 地区担当になってしまったので、当初は、自分の作品発表は考えていなかったが、ゼットンというとても雰囲気の良いバーが展示場所として、ひとつ余ってしまったので、急遽、作品を準備して発表することにした。

 それが、「高木正樹写真集」である。

​ wanakio2002で出会った高木正樹氏が、実はアマチュア写真家であった、という設定で、彼の写真展を私が企画するという、捏造作品の続編である。

​ 購入予約のハガキまで準備したところ、4通の予約があった。

このプロジェクトについて、沖縄タイムス真久田巧さんが記事を書いてくださいました。

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上の図版をクリックすると、リーフレットがご覧になれます。

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